未発表作品

未発表5作品のあらすじを紹介します

 1.『果てなき光へ…わたしくしは帰依します』 

 広大な宇宙の果て、無数の魂が地球へと降り立っていく。オムニバス形式で、葬儀スタッフ矢口千里が、亡くなった5人の魂のテーマを残された人達に伝えていく。 

「第1幕…堀田民雄の場合」 

「家族」が魂のテーマであり、人生の最期まで家族への思いにあふれ、父としての人生を全うした物語。 

「第2幕…武井由紀の場合」 

「女優としての夢を叶える」ことがテーマの由紀と、その人生を支え続けた城之内沙也加。そしてその妻を支えた夫との過去生からの深い縁を描いた物語。 

「第3幕…遠藤律の場合」 

「信頼できる仲間をみつける」がテーマの孤独で美しい少年、律。 

彼が選んだフリースクールで出会った教師や学友と、とまどいながらも心を開いていき、満たされた思いで死を迎える物語。 

「第4幕…タマちゃんの場合」 

「恩返し」がテーマの、前世で命を救ってもらい幸せに暮らした猫が、今世、無償の愛で元の飼い主に恩を返し、幸せな人生へと導く物語。 

「第5幕…水沢勇気の場合」 

矢口千里の夫である水沢の「お見送りパーティー」で、2人の今までの使命が伝えられ、出会ってきた人達との時間を懐かしむ。 

水沢が亡くなった数年後、矢口千里も「果てなき光」へと還っていく。 

 2.『お湯に浸かって明日のことを考えよう』 

 佐々木正治は、飼い犬ロンの代理でブログを立ち上げた。ロンは「前世が人間だった犬」というおっさん犬で、正治とはテレパシーで会話をする。

ロンと正治は、龍一郎の『銭湯ブログ』にコメントする人たちに興味を持ち、銭湯で初顔合わせをすることになる。

元芸人で、婚活に励む天作。ネガティブな言葉を綴る精神科の看護師、里穂。保育士として頑張っているが、虐待問題に悩む直美。隠居して穏やかな生活を送る保奈美。アクティブで充実した日々を伝える海人。この交流会は回を重ねることで、参加者同士、少しずつ打ち解け、一人一人の生活にも変化が表れていく。

一年後、龍一郎が銭湯をたたむということで、最後の交流会が開かれた。そこではある事実が明かされ、憤慨するメンバー。その場には、エレナという名のアンドロイドも現れた。

AI技術と人間が、調和していく世界は実現できるのか? 一人一人、これからの自分の人生に真剣に向き合うことになる。

 3.『王子様のいた公園』 

小説家になる夢を持ち続けてきた麻美(あさみ)は、三十三歳の誕生日を前に、新人賞に応募した作品が落選し、生きる目的を失っていた。

公園で、瀕死の子猫にエサを与えていた十五歳の啓吾(けいご)と出会う。麻美は、彼に落選した作品を読み聞かせることになっていく。しかし、途中まで話した時、啓吾は麻美の元に来なくなる。

彼は荒れた高校生となり、麻美と再び出会う。やがて啓吾は、彼女の夢と自分の夢を重ね合わせ、映画監督を目指すようになる。そんな彼を母親のような愛で支え、見守る麻美。そして、彼女の小説は、啓吾の映画監督デビュー作品となる。それを機に、彼は才能を認められ、若手映画監督としての地位を固めていくのだった。

渡米を考える啓吾に、一緒に行こうと誘われる麻美。彼女は、この先の人生をどのように選択していくのか?

 4.『七色の人々』 

  幼い頃に両親を亡くし、祖父母に育てられたソラは、バイトをしながら毎日を淡々と生きていた。

だが、大地震によって生活が様変わりし、震災後の町の状況の写真を撮るうちに、ソラは「生きようとしている自分」、「生まれ変わったような自分」に気づく。また、急に人の「色」や「オーラ」が見えるようになり、戸惑っていた。

その頃に出会った看護師のミヤは、「透明の色」だった。ミヤは、ある特殊な能力を持っており、仕事や生活の中で、その能力を活かしていた。

二人は惹かれ合い、少しずつキョリを縮めていくが、同時に、お互いの壁も感じとっていた。

ソラは、ボランティア活動で様々な人と出会い、これからの人生を模索していく。

 5.『未来のふね』 

遥は、子供の頃、「宇宙人に会いたい」と夢を見ていた。

二十九歳になった今では、幼稚園の先生の仕事につき、智也というちょっと生意気な彼氏もいる。特に不満もなく、それなりに幸せな毎日ではあったが、どこか心が満たされていないように感じていた。

ある満月の夜、亜美という宇宙人のような少女に出会い、遥は宇宙を案内してもらうことになる。そこは、自分のイメージが形になるという、未来意識の世界だった。

ラブリーなふねで、好きな物を食べて眠って、満足する遥。実は、智也が制作している「宇宙旅行ゲーム」に、突然入り込んでしまっている状況だった。

宇宙空間には、様々な形のふね…豪勢なふね、家庭的なふね、人々が助け合うふね、仲間で夢を実現するふねなどが、存在していた。中には、ネガティブな意識「苦しみのふね」もあった。

それらを目の当たりにした遥は、本当の幸せとは何か? どのような「ふね」で、未来を創っていくのか? 自分自身と向き合うことになる。

そして、智也への気持ちにも変化が表れるのだった。